●シルクロード諸国の食べ物


イランイスラム共和国のごはん

サラフス サンドイッチ 2500トマン(250円)
通常であれば100円〜200円。国境のバスターミナルでは勝手の知らない
外国人が良くボられる。スパイスを良く効かせたジャガイモと鶏肉の炒め物
をピクルスと一緒に挟んだもの。スパイスの使い方からして中央アジアを
抜けてきた管理人の舌はイランの食事に大いなる期待を抱いた。
マシュハド ヴァリ家の夕食 3000トマン(300円)
日本人は米と野菜を良く食べるということで野菜たっぷりの夕食を用意して くれた。メインのおかずはナスとレンズ豆と鶏肉をサフランやスパイスで煮 付けたもの。お代わり自由。スパイスの使い方しかり、味付けしかり、イラ ンの食事はおいしい。イランではナスとヨーグルトが毎食のように使われ る。
マシュハド ヴァリ家の朝食 100トマン(100円)
ナンと紅茶とヨーグルト飲料、自家製ジャムとチーズとバター、目玉焼きと
いう欧州タイル。値段を考えるとまずまずのラインナップ。イランのチャイは
中央アジアの茶よりも香りが強く渋みもあって美味しい。砂糖は溶かさず
かじる場合が多い。
ギャルメェ 果実 無料
オアシス村の裏手、ヤシ樹林のいたるところに鈴のように生っていたので 勝手にもいで食べた。乾燥地帯の代表フルーツであるざくろとデーツ(ヤシ の実の一種で激甘のフルーツ。中農ソースの原料として日本にもなじみ深 い)。
ギャルメェ アテショニーGHの夕食 宿代に込(300円?)
イランの米は細長くてバサ付いているけれど、それでも米が食べたい日本
人は喜ぶ。黄色いのはサフランで炊いた米。レタスなどの葉野菜もうれし
い。ヨーグルトソースをドレッシングにして食べる。メインはナスと鶏肉とレン
ズ豆をサフランとスパイスで煮込んだイランの家庭料理。ビュッヘなのでお
代わり自由。
ギャルメェ アテショニーGHの昼食 宿代に込(300円?)
鶏肉の混ぜご飯、レンズ豆と干しブドウの混ぜご飯の2品、サラダ、豆と鶏 肉をほうれん草ペーストでじっくり煮込んだもの(インドの辛くないほうれん 草カレー料理のよう)。イラン料理は甘味、苦味、塩味など多様な味覚を総 合して調味に取り込んでおり、またスパイスも充実していることから調理技 術において中央アジアとは雲泥の差を感じるのだ。
ヤズド 豆スープ 2500トマン(250円)
シルクロードホテルの最も安い料理がこれだったので頼んだ。具は豆と野
菜とジャガイモとトマト。これらをグズグズになるまで煮込んでいる。酸味が
強く苦手な人は苦手かもしれないが、それでも中央アジアの技術のない
食事よりは良い。
ヤズド ソフトクリーム 300トマン(30円)
イランのアイスクリームはうまい!食べ比べてみればわかるのだが、もの すごくミルク分が濃いように感じられる。と言ってトルコアイスのように粘り があるわけではない。あくまで普通の食感なのだがとにかく濃い。喉は、と ても渇く。
ヤズド ノンアルコールビール 600トマン(60円)
イランは法律でアルコール販売を禁止している。ノンアルコールビールはど
こでも売られているのであるが、完全にジュース。麦を発酵させた中央ア
ジアのクヴァスよりも臭みや苦みが少ない。イチゴやレモンの果汁を加え
あっさりしている。
ヤズド ハビージバスタニ 600トマン(60円)
アイスクリームにニンジンの生搾りジュースを加えたニンジンシェイクのよう なもの。ナッツ粉を振っている。イランではニンジンをフルーツのようにジュ ースやアイスのトッピングに使う。シラーズでは粘りのあるトルコアイスを使 用していた。
シラーズ ガザ 2500トマン(250円)
こちらもイランの代表料理でほうれん草(のような葉野菜)ペーストの煮込
み。フライドポテトと鶏肉を乗せ、ケチャップでトッピングしてある。安食堂で
食べた逸品でライスは付属。レモンやクミンなどで風味をつけており酸味
がとても強い。
シラーズ サムサ 150トマン(15円)
アジアのイスラム圏全土に流通するサムサである。中央アジアのものは 窯で焼いていて羊と玉ねぎが具であるのに対し、イランのものはインドのそ れに近く、皮をカリカリに油で揚げている。具はサフランで色付けをしたジャ ガイモと葉野菜。
シラーズ ピスタチオ 100g500〜1000トマン(50〜100円)
イランはピスタチオの大産地で、日本で流通しているものの殆どがイラン
産。産地だから安いと思ったが、どうやら現地でも贅沢おやつのようだ。生
のピスタチオは赤いしっとりとした皮にくるまれており、皮をむいて殻をむい
て出てきた黄緑色の豆は甘味が強くなめらかな舌触り。
シラーズ モハメド家のチャイ 無料
町で知り合ったシラーズ在住アフガン人土木労働者のモハメドの家にて。 家族総出で接待してくれた。彼は英語が堪能であるが、アフガン人差別の ためイランでの生活の苦しさを語ってくれた。家族の半数は職を持っていな い。塩辛いカボチャの種、甘い焼き菓子、砂糖菓子でチャイを飲みながら語 る。
シラーズ ディーズィ 1000トマン(100円)
イランの国民食。壺に入っているのは酸味の強いトマト―スープポトフでジ
ャガイモ、豆、肉などが具。汁だけを椀に移しナンを千切り入れ粥にしナン
で巻いて食べる。粥がなくなったら残った具を付属のスリコギでペースト状
になるまですり潰し空いた椀に移し、またナンで巻いて食べる。質より量の
典型。
ペルセポリス チェロゥキャヴァブ 2500トマン(250円)
ペルセポリスとシラーズを繋ぐ幹線道路沿いの高級そうなレストランでの食 事。意外と安かった。イランの典型的な食事の1つ、キャヴァブ(羊つくね串 焼き)2本の上にライスをぶちまけた皿。焼きトマトの付け合わせが嬉し い。
シラーズ ナン巻きキャヴァブ 800トマン(80円)
公園近くのスタンド。ナンに焼きたてキャヴァブを巻きビニール袋でポイポイ
と売っている。肉の本数、付け合わせ(焼きトマトなど)で値段が変わる。レ
モンを絞って臭みを消す。ビタミン補給のキゥイ生搾りシェイクは700トマン
(70円)。イランのナンは薄くて堅く、ピタのような食感だ。
エスファハン ベッルーズ家の朝食 無料
夜行バスで一緒になったベッルーズに招待された。彼は23歳の若さにして 国際IT企業勤務。月に30万円は稼ぎ、若くて美人な奥さんもいる。イラン の普通の家庭の朝食はナンと目玉焼き、チーズ、バター、人参ジャム、チ ャイ。これが典型。
エスファハン 長距離バスの軽食 バス代に込み
イランのバスは例えば夜行10時間でも500円〜800円と激安だがエアコン
付き高性能。バス会社は十数社あるがすべて国営。しかしこんな軽食サ
ービスをつけたりして各社しのぎを削っている。コーヒー、ケーキ、クッキ
ー、ドライデーツなど。
エスファハン チェロゥモルグ 2800トマン(280円)
チェロゥ○○とは○○とライスのセットのこと。こちらもイラン料理で鶏肉とピ ーマンのトマトソース煮込み。混ぜればチキンライスといったところか。イラ ンの定食には生玉ネギとナンとレモンがたいてい付いてくる。
エスファハン アーブグシュト 3000トマン(300円)
観光チャイハネのやや高い食事。アーブグシュトとはナンに付けて食べる
ペースト料理の総称のようだ。こちらは豆イモササミほうれん草のような葉
野菜とサフランのペースト、強烈に酸っぱいカリフラワーとナスとキュウリの
漬物、羊の脂身と香草の緑脂汁のセット。
エスファハン グシュフィ 無料
チャイハナなどでチャイを頼むと付いてきたりする激甘のお菓子。材料は不 明だが察するに小麦粉を水飴に浸して油で揚げたようなものだろう。インド の屋台で売っている激甘お菓子と同じ。中途半端にかじると油まみれの水 飴がどろりと垂れる。チャイのお茶受けとしては香ばしくてかなり良い感 じ。
テヘラン 和食一式 16000トマン(1600円)
いや、申し訳ない。トルコに入ったら和食なんて高くて食べられないと言わ
れ、安宿で一緒だった日本人旅行者と一緒に突撃した。寿司は青モノば
かり、味噌汁にマッシュルーム、天ぷらというよりフリッター。だけどイイん
です。食材費を考えると理不尽な値段設定はされていない。テヘラン内で
最もリーズナブルな和食レストランヴァナックスターにて。
テヘラン テンジャンチゲ 無料
安宿のドミトリーで同室の韓国人がチゲパーティをしていたのでお呼ばれし た。辛いー。具材は玉ねぎ、芋、ツナ缶…?しかしコチュジャン(韓国人旅 行者は必ずと言っていいほど持っている)と唐辛子とニンニクで本場韓国 の味になるとは素敵だ。辛い、うまい。パサパサのイラン米でも進む進む。 ときおりスイカでハシやすめ。
テヘラン オムレトゥ 1000トマン(100円)
正直な話、イラン料理の中で最も口に合う味付けだった。なんてことはな
い、トマト味のまろやかなスクランブルエッグなのだが、これがイラン独特
の薄くてバサバサした堅いナン(ピタのような感じ)に良く合うのだ。ちなみ
に純然たるオムレツ(卵焼き)はイランで見たことがない。
テヘラン 魚介鍋 2200トマン(220円)
ペルシャ湾の恵みに目移りして高額になってしまった豪勢な自炊料理。エ ビ、白身魚、インゲン、キャベツ、人参、ニラ!大根!長ネギ!と日本にな じみ深い高価な野菜を目ざとくバザールで探し当てふんだんに投入。ダシ のもと、日本醤油でグツグツとね。卵があればオジヤにしたい優しすぎる 味。
テヘラン シュークリーム 600トマン(60円)
高くはない。なんと拳大の特大シューなのだ。ひとつぶで腹いっぱい。お洒
落なテヘラン市民は食事もだいぶお洒落で、町中にこうしたスイーツのお
店があちこちにある。生クリームって脂と砂糖の塊だよなぁ。太るため栄養
以外に何もないな…。なんてバチあたりな食べ物なのだろう。
テヘラン 舌サンドイッチ 2000トマン(200円)
サンドイッチはイランのいわば国民的ファーストフードで繁華街200メートル ごとに店がある。ショウケースにはソーセージ、ハンバーグ、ササミ、舌や モツ、肉などが陳列されており、具材で値段が大きく変わる。安いソーセー ジは1000トマン(100円)程度。注文が入ると鉄板で温めてトマトやピクル スなどとフランスパンに挟む。温かくてボリュームもありイケる。
テヘラン バルバレイ 200トマン(20円)
イランのナンは薄くてバサバサした堅いもので一枚2円程度のものが主流
だけど、北西部ではこちらも良く見る。トルコのパパンと呼ばれるパンだそ
うだ。外側はサクッとしているが堅くなく香ばしい。内側はモチッとした歯ご
たえがあり日本人好み。ゴマがふってあるものもる。人の肩幅くらいの大き
さ。国民食たるナンの店は常に行列なので遠目でもすぐわかる。
ラシュト ハーディ家の夕食 無料
片言の日本語を使うタクシードライバーのハーディさんの家にお呼ばれし た。焼きトマト、ハンバーグがメインだが付合せが面白い。緑のバガラバト は青大豆とゆで卵をペーストにしたものでコクがあって美味しい。写真左下 のゼートンパルヴァルデは、日本でも見かけるオリーブ漬けをザクロと擂り クルミで和えたもの。いずれもラシュトの郷土料理。
ラシュト リシュトホシカ 100トマン(10円)
小麦粉で作ったクレープ生地のようなものでザラメ、シナモン、ナッツの粉
末を包んだお菓子。名前から察するにロシア圏から伝わったものと思われ
る。ラシュトはカスピ海沿岸の町でこのあたりには独自の文化が残されて
いるのだ。カスピ海の向こうは、そう…ロシアや旧ソ連のアゼルバイジャン
だ!
ラシュト ルビア 1000トマン(100円)
豆とイモとトマトのあっさりとしたトマトスープ。これだけみると中央アジアの ラグマン汁と大差ないように思えるがこれがあっさりしていて脂っぽいキャ ヴァブと合うのだ。味付けもしっかりしていておいしい。どうして同じ材料で こうまで味覚が違うのだろう。中央アジアのマズさが引き立つ一品。
フーマン 赤カブ煮とソラマメ煮 100g200トマン(20円)
バザールの一角からソラマメの茹る香りがしたのでオヤツに。持参のナン
でサンドすると意外においしい。赤カブは砂糖で煮ており日本の煮物に近
く、空豆はシンプルな塩煮でうまい具合に味が調和する。だが相変わらず
赤カブの色は味覚中枢に馴染まない。他にふかし芋などを売る露店もあ
る。
マスレー ミールザガーセミ 3000トマン(300円)
断崖の山村マスレーの郷土料理。イラン風のペースト料理で観光レストラ ンで食べた。とてもおいしい。ナスをメインに玉ネギトマト炒り卵をペースト にし、サフランで色付けしている所までは普通。ポイントはたっぷりのニンニ クだ。ナスの甘味と卵のコクとニンニクの香りの素晴らしいハーモニー。
キャンドヴァン 干し果実 100g200トマン(20円)〜
カッパドキアと並ぶ奇岩の山村は秋真っ盛り。夏の果実が干しあがり冬に
備える、そんな生活サイクルの特産品。アプリコットを買ってみた。長距離
バスのお供に、食物繊維補給に、チャイのお茶受けに。このほかクルミや
栗などもあった。柿はあるのに干し柿がないのが不思議。渋柿が少ないの
かな?
マークー 命の水 無料
ヒッチハイクでお世話になった男性の家に招待されて。半月ぶりに味わっ た百薬の長はあまりにキツくてこれ一杯で降参した。金曜(イラン国民の休 日)の前夜だけ、ドイツから仕入れた命の水で、こっそり自宅で命の洗濯。 ところで酒と女性制限に関して言えばホメイニ師の評判は国内でもかなり 悪い。
<イランのグルメ事情>
中央アジアからイランに入国した旅人であればイラン料理に感動することもしばしばあるかもしれない。甘味・塩味だけでなく、酸味・辛味・苦味をうまく
料理に融合させている点も技術が感じられる。

豆をベースにしたペースト料理、肉の串焼きキャヴァーブ、サンドイッチの3つがイラン全域にわたり共通する。ペースト料理の味は多様で、酸味が強い
ものやナスの甘味が強いもの、ニンニクの香ばしいものまで様々だ。あらゆる地域でチャレンジしてみたい。キャヴァブはすだちや酸っぱい果実の乾燥
フリカケで臭みが抑えられる。イラン式のサンドイッチ屋は町の到る所にある。ボリュームや内容も割と充実しておりリーズナブルであるため、お世話に
なる機会は多いかもしれない。イラン人は毎食、ザムザムや7アップなどの炭酸ドリンクをジャンキーにガブ飲みする。

ナンは薄くバサバサした堅いものと、トルコ風のモッチリしたバルバレイ(またはパパン)と呼ばれるものがある。後者は主に北西部で人気。ナンは国
民の生活必需品であり街角でタダみたいな値段で大量に売られている。チェロゥと呼ばれる細長い米もポピュラーで、定食屋などではキャヴァブ、魚フ
ライやチキンのトマト煮などのメイン料理セットで出てくることが多い。果実は柑橘類やバナナも手に入りやすい。ナッツ類も豊富で町の露店では生ピス
タチオをよく見かける。

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