●シルクロード諸国の食べ物


トルコ共和国のごはん

トラブゾン ハムシ 無料
黒海に面した港町トラブゾンの名物は魚料理。中でもハムシと呼ばれる鰯
は名産品で安く1キロ1リラ(70円)。魚市場をうろついていたら、魚屋のお
じさんたちが売れ残ったハムシを網焼きにして食べようとしていたのでちょ
っと味見させてもらった。日本人は頭も骨も食べる。潮臭さがたまらん。
トラブゾン アクジャバートキョフテ 5リラ(350円)
キョフテとはミートボールのことで、焼いてミニハンバーグ風にして食べるこ とが多いがトラブゾンのキョフテは独特のオリジナル。焼かずにトマトスープ で野菜と煮込む。粗挽きの牛肉でコリコリと歯ごたえが良く臭みは皆無。ト マト玉ねぎパセリなどを練り込んでいてツナギは使っていない。
サフランボル ロクム 5リラ(350円)
旧市街の中央広場の観光カフェで食べた郷土菓子。言うなれば堅めの信
玄餅でモチモチしたでんぷん質の生地に思い思いのナッツ類を含めて固め
ている。手前からクルミ、ピスタチオ、チョコピーナツ、マカダミアとバリエー
ションも豊富。かなり甘いがチャイとは良く合う。虫歯の穴に詰まると危険。
サフランボル 杖屋ペンションの夕食 7リラ(450円円)
家庭料理を味わうチャンスと思い、少し高めだが頼んだ。とはいえロカンタ より品数も多くリーズナブル。穀物でとろみを出したトルコスープのチョル バ、南瓜の甘煮、平茸とナスの炒め煮、プレーンバターライスのピラウ、温 野菜炒め和えが少しずつ出た。平茸が、味付け食感共に良くピラウとの相 性抜群。
サフランボル ジゲル 5リラ(350円)

旧市街のアラスタバザルから坂道を少し下った辺りにあるロカンタBIZIMカ
フェにて。牛のジゲル(レバー)をニンニク玉ねぎトマトと煮込んだもの。トマ
ト味は薄く、レバーの臭みを玉ねぎの甘味とニンニクのほのかな香りで消
している。店内は木の温もり溢れ薪暖炉が温かかった。笑顔の優しいおば
ちゃんはサラダとチャイを無料でサービスしてくれた。
アンカラ ロカンタサービスセット 4.5リラ(310円)

アンカラは食堂の競争が激しいようで地方のロカンタより安め。このセット はピラウとチョルバと好きな肉系のおかず一品、そしてサラダ又はバクラウ ァのいずれかを選ぶ。パンは食べ放題。管理人はレトルトハンバーグトマト 煮込みを選択。他にもチキンや安物ウィンナや肉詰めピーマンなどがある が、どれも同じトマトベースのスープで煮込んでおり味は同じ。
アンカラ ビラ(ビール) 1杯5リラ(350円)

アンカラの安宿街にはガズィノと呼ばれるショウパブがある。端で派手な格
好の女性が客待ちをしており、お呼びがかかると銀の瓶(会計時にカウン
ト)を持って隣に座る。20分お相手25リラ程。酒とトルコ風短調生演奏だけ
を楽しむのも良いが、ボーイが女の子を付けようとするのでハッキリ言うよ
うに。
ボアズカレ 温製旅人食 材料費1リラ(70円)

普段は生でかじって済ませるところだが、あまりに寒かったので強行自 炊。携行している電熱コイルと特大ブリキコップで、人参ピーマントマト干し 肉チーズをコンソメスープと胡椒で煮込んだもの。旨そうに見えないけれ ど、質の良い干し肉とチーズから味が染みだして、非常に美味。パンを浸 して食べた。
ギョレメ ポッテリケヴァブ 13リラ(900円)

カッパドキアの中央に位置する村ギョレメ名物。素焼きのポットに肉や野菜
を詰めて煮込んだ料理。ポットの首を割るパフォーマンスが見られるが、中
身は普通のサイコロ肉のトマト煮込み。熱々の料理は中々お目にかかれ
ないのでうれしいところ。内側に破片が落ちることもあるので注意して食べ
るべし。
ギョレメ オスマンケヴァブ 12.5リラ(850円)

鉄の皿の下から固形燃料で熱していてとても温かい。中央にはピラウがこ んもり盛られ、周りの肉と混ぜながら食べるのが宜しい。肉は牛と鳥。シン プルな味付けで塩コショウと野菜のうまみがピラウのバター味と絡んで非 常に美味。日本風にマス鮭山菜ときのこご飯で試してみたいところだ。
ギョレメ ラク 10リラ(700円)

ウォッカのようなきつめの透明リキュールで、水で割ると白く濁るトルコ名
産の酒。通称ライオンのミルク。葡萄を原料とした蒸留酒で、甘味は少な
く、うぃきょう(ミントのような香草)の香りが強めに付けられている。味という
より香りを楽しむタイプの酒。かなりクセがある。
コンヤ エトリエクメク 5リラ(350円)

コンヤ名物挽肉ピザ。トマト玉ねぎ牛挽肉のペーストを薄い生地に塗って 窯で焼き上げる。玉ねぎ味が強く甘い。生地は薄いピザパイに似ている が、より薄くて柔らかい。両サイドはパリパリしているが、内側の柔らかい 部分の食感は和菓子のオタベのようにモチモチ。焼き立ては香ばしくて温 かい。
コンヤ メヴラナピデ 2リラ(140円)

コンヤ名物のピザシリーズの2品目。挽肉とチーズソースをピデ生地に乗
せて注文を受けてから窯に放り込む。コンビニで見かける総菜パンと大し
た差はないのであるが、決定的な違いはやはり焼きたてであるということ。
サクサクうまい。こうしてわたしの豊かなるコンヤのピデライフが始まった。
コンヤ ビョレックとラフマジュン 2リラ(140円)

住宅街の一角にあった持ち帰りピデスタンドにて。ビョレックは純然たるチ ーズピデで1.5リラ。左のラフマジュンの生地はクルド風ではなくトルコ風の ピデ生地でサクサクふわふわ0.5リラ。ちゃんと紙皿に乗せ包装紙でくるん でくれる。付け合わせの生野菜はカブとレモン。サッパリしておいしい。安 い!
コンヤ フルンケヴァブ 8リラ(560円)

コンヤ名物と聞いて試してみたが、これを出す店は決まってやや高めの観
光レストラン。観光名産のような位置づけで、一般のロカンタでは出してい
ない。チキンに強めに塩をふり、圧力鍋で柔らかくコッテリ揚げてある。とて
も脂っぽいが、鶏の旨味と食感を楽しめる。KFCの柔らかチキンに近い。
コンヤ ノルマルエクメク 0.4リラ(20円)

トルコの代表的なエクメク(パン)。通常0.4〜0.75リラで地域による。街角 のパンスタンドやミニ商店で扱っており、自炊派の管理人は毎日のように お世話になる生活必需品。日本のフランスパンに比べグルテンが強いらし く歯応えが良い。。堅いものを一晩袋に入れて湿気らせて食感を楽しむの が管理人流。
ベルガマ イスケンデルケバブ 6リラ(400円)

牛肉の回転焼き、ドネルケヴァブである。そぎ落とした肉を温めたナン(ク
ルディッシュナンに似たふかふかの円盤型のパン)に乗せ、トマトソースを
かけたもの。両脇にあるのはヨーグルトとピラウ。味にパンチがなく、トマト
の酸味しかしなかった。同じドネルでも味には店によって相当の差がある。
チャナッカレ イシュケンベ 3.5リラ(250円)

トルコ一般料理のひとつで、牛の臓物(ハチノス)をこってりしたスープで煮 込んだもの。トルコでは人気だが、クセが強く嫌いな日本人も多い。クセと はげん骨スープに似た臭み。だがどろどろトンコツラーメンに比べれば可愛 いもの。肉もアッサリしていて濃厚なテールスープと思えば意外と旨い。
チャナッカレ マントゥ 4リラ(270円)

親指の先くらいの小さなワンタンをヨーグルトで和え、パプリカで色付けした
オリーブオイルをかけている。マントゥという名は中央アジアでもよく耳にす
るが、そちらはもう少し大きくて中の具もしっかりしている。これが中国に行
くとマントウという肉まんになって、日本では饅頭という菓子になった。
チャナッカレ ハムシエクメク 2リラ(140円)

トルコでよく食べられるハムシを小麦粉の衣をつけて香ばしく揚げ、レタス・ トマト・玉ねぎと一緒にパンに挟む。レモンジュースをたっぷり振っているの であっさり感と潮の香りが良い感じ。ハムシとはアンチョビ鰯のことで、ロカ ンタなどでも一番安い大衆魚として愛されている。
エスキシェヒル チョルバ 1.5リラ(100円)

朝のロカンタの定番メニュー。チョルバはスープの総称で、中央アジアでは
ショルポなどと訛った。トルコのチョルバは米などの穀物によってとろみが
付いてポタージュに近い。ヨーグルトを混ぜたものもある。レモンや香辛料
で好みの味に仕上げる。付け合わせは辛い青唐辛子のピクルス。
エスキシェヒル 総菜パン 不明

朝のロカンタで出会ったトルコ人が、旅路で食べなさいと言ってくれたお餞 別。トルコは総菜パンも充実している。左はチーズパンのペルニルリカラキ ョイ、右はシナモンアップルママレードのあんを詰めたエルマリケック。トル コ語の料理の名称はやたら長くて覚えられん。真心がこもっておいしかっ た。
イスタンブール サバサンド 3リラ(200円)
イスタン名物。鯖の塩焼きを生野菜と一緒にフランスパンに挟み香辛料と
レモン汁をかけたもの。それはそれは塩臭く、感想を一言でいうなればサ
バ!ガラタ橋という観光スポットではこれが目当てのトルコ人観光客が集
まる。観光名物なので、ちょっとコストパフォーマンスは悪め。
イスタンブール 大学定食 0.75リラ(50円)
イスタンブール大学の学食。チョルバ(雑穀スープ)、日替りの一品、生野 菜、ハルバというお菓子がつく。おかわりもできるので物足りなさはない が、味はかなり悪く、質より量の典型。大学は旧市街にあり、国際学生証 があれば入場できる。管理人は学生証所持者に同伴させてもらい入場し た。
イスタンブール 焼うどん 0.5リラ(30円)
安宿TOLはタイミングが良ければフリー食材があふれている。ソース、鰹
節、キャベツ、小麦粉があったので持ち出し食材はソーセージとサラダの
み。このたび生まれて初めてウドンを打ってみたのだが意外とムツカシイも
ので、すいとんのようになってしまった。だが、ソース味はおいしい。
イスタンブール イスパナック 1.5リラ(100円)
新市街の奥まったところで見つけた檄安食堂。通常一品3〜5リラするのに …。もちろんパン食べ放題。こちらはサフランで色づけしたスープでほうれ ん草と米をドロドロになるまで煮込んだもの。これをおかずに無料のパンば っかり食べて今夜の夕食はおしまい。野菜たっぷりはいい。
イスタンブール ストゥラッチ 1リラ(70円)
トルコ名物のひとつ、ライスプリンである。フルフルとしたこってりカスタード
クリームの中に隠れているのはグジュグジュになった米。表面を少し焦が
している。観光レストランはもちろんのこと、たいていの大衆食堂ロカンタに
もデザートとして置いてあるポピュラーな一品。個人的には米はいらん。
イスタンブール アダナケヴァブ 5リラ(350円)
ケヴァブとは肉料理の総称であり、アダナケヴァブと言ったらアダナ(地名) 風の焼肉という意味。赤唐辛子を擦り込んでいてピリ辛なのが特徴。ウル ファケヴァブと言えば辛くないツクネ状のウルファ市スタイル。イスケンデル ケヴァブはそぎ落とし回転肉ドネルの下にパンを敷き詰めたスタイル。
イスタンブール ピディエ 0.5リラ(30円)
イスタンに限らずトラブゾンやチャナッカレなど海に面した街の露店などで
売られているおやつ的なもの。一見するとオイスターバーのように烏貝とレ
モンが台に並べられているのだが、実は中身は炊き込みごはん。貝ダシ
がしみ込んでいてイカ飯にタイプが近い。ビールによく合う。
イスタンブール ベジタコライス 2リラ(150円)
TOLの現管理人さんベジータ♂が作ってくれた販売用自炊料理。販売する だけありかなりの腕前。彼はベジタリアンで肉はおろかダシさえも一切使 わず香草とスパイスをふんだんに使ってエスニックな味わいを出している。 豆を中心とした野菜トマト煮込み丼。生キャベツを散らしオリーブマヨネーズ をかけて。
イスタンブール 生チョコプリン 5リラ(350円)
新市街のおしゃれなカフェで食べたスイーツ。トロリとした生チョコクリーム
にホイップクリームとパリパリチョコを乗せ、ピスタチオ粉をまぶしている。
見た目も味も値段もかなり贅沢な一品で、イスタンっこのお洒落さが伝わっ
てくる。スイーツの発達しているところは、豊かさを感じる。
イスタンブール ギョズレメ 2リラ(150円)
港に近い住宅街で食べたトルコ名物軽食。日本でいう大判焼きのようなも ので、ジャム・ナッツあん・カスタード・チーズ・ソーセージなど思い思いの具 をクレープ状の生地に包み込む。生地はもちもちして柔らかくておいしい。ト ルコ各地で味わえる。観光スポットでは5リラくらいすることもある。
<トルコのグルメ事情>
フランス、中国と並んで世界三大料理と称されるトルコ料理。全体的にマズいものはなく、極端に塩辛かったり味が薄かったり油が多かったりするとい
うこともない。基本的には前項のアナトリア地方の食事に述べた通りである。

個人的な感想を言えば、わたしたち日本人が食べて劇的に「オイシイ!」と感じるものはそこまで多くなく、どれも無難な印象を受けた。なぜ世界三大
料理に挙げられているのか考えたところ、おそらく私見ではあるがオリジナルの調理技術とスパイスと香草が充実している点が理由だろうと思われ
る。野菜に米やひき肉を詰めて煮込むドルマという料理はロールキャベツの原型であるし、そして中央アジア諸国の料理の多くはトルコ料理が発祥で
ある。加えて独自のスイーツも持っているあたりに食文化の豊かさを感じる。

海に面しており魚介も豊富で、食材の幅はかなり広いといえる。少なくとも食べたいものが無いという状況には陥りにくい。煮込みスープにサフランを
使ったり、肉にクミンを刷り込んだり、スパイスの使い方や種類も充実している。このあたりシルクロードの終着点らしい。トルコは太古の時代より世界
に名だたる数多くの文化(メソポタミア、ペルシャ、ローマ、イスラム、ヨーロッパ、アフリカそしてアジア)が混在した土地だ。それゆえ食に歴史の深さを
見いだせる。

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