シルクロード写真 10.東南部アナトリア地方
外務省:危険度色分け地図(参考)

●概要

シルクロードで結ばれた最後のイスラムの国トルコに
入国したとき、東南部のアナトリア地方は黄葉深まる
秋でした。

アナトリア地方はイスタンブールなどの西トルコの西
欧的な文化圏とは異なります。広大な土地では牧畜
や農業が営まれのどかな風景が広がります。この地
方はクルド人が多いことからクルディスタンと呼ばれる
こともあります。

管理人は、独自の文化や国民性を持つクルドの人々
に興味を抱き、アナトリアを深く旅する事にしました。

ウァン湖 ・マラティヤ ・シャンリウルファ(ウルファ) ・バットマン ・ディブリィ ・カルス


ウァン湖

美しい中世アルメニア教会建築や古代遺跡の点在する巨大な湖です。アルメニアとの関係も徐々に改善されつつあり、夏にはピクニック客や湖水浴
客でにぎわいます。遠目に見る湖は、その青色が際立ちます。

教会遺跡の遺されたアクダマール島へはフェリーで渡ることができます。

この地域の中心であるウァンにはに黄・青・緑の3つの巨大なモスクが徒歩圏内にそびえ、ミナレット(塔)の色を見れば自分がどこにいるかすぐにわ
かります。また位置的にアフガニスタンの戦争難民も多く住んでいます。


マラティヤ

夕日に照らされ黄金色に光り輝く神々の眠る山ネムルートダァへの北の玄関口です。

中部アナトリア地方の中心に位置し、周辺交通の要所であるこの街は都会的であるにもかかわらず、人々は純朴で外国人に興味を持っては差別な
く笑顔で話かけてくれます。また日本びいきの人も多いです。

中央モスクと公園を中心にバザールや商店街が集約されており、交通の中継としてやってきた旅人たちにとっては大変便利な街です。


シャンリウルファ(ウルファ)

アナトリアの南部、シリアとの国境に程近いウルファは古くメソポタミアの時代からアラブ世界との交易の中心都市として栄えました。その歴史は1
万年以上も昔から続き、世界最古の町のひとつとされています。古い都市らしい町並みには独特の風格が漂っています。

また預言者アブラハムの生誕の地でもあり、彼にまつわる伝説がいくつか残されています。

郊外のハッラン村付近には日常的にアラビア語を話す人々が暮らしています。


バットマン

南部アナトリアの中でも深い歴史を誇る町のひとつです。

郊外のハサンケイフには、古代の城塞が残されています。河の侵食によりできた両岸の崖を掘って作った城塞都市と、それらを繋ぐ巨大な橋のスケ
ールは他に類を見ません。城塞の頂上に広がる街並みは苔むし、空中都市遺跡という表現がマッチします。

またこの辺りのクルド人の中心的な街であるディアルバクルには、万里の長城に次いで世界第二位の長さを誇る城壁が延々と続いています。


ディブリィ

丘に築かれた城塞から斜面を下るようにして広がる、谷あいの小さな町です。細い坂道を石畳が続き、所狭しと商店がひしめき生活の活気が感じら
れるものの決してうるさくないのどかなところです。

とても良い状態で修復保存されたセルジュク様式の装飾が美しい豪華けんらんなモスクが、町のシンボルとして世界遺産に登録されています。

近郊の町にはバルクルカプルジャと呼ばれる魚の住む珍しい温泉があり、この魚につつかれると皮膚病に効くことから、サナトリウムが併設されて
います。


カルス

トルコの最北東アルメニア国境に程近い町で、城塞の丘と河川を中心にアナトリアの荒野に広がります。どことなくカフカス風の街並みです。

町の郊外アルメニア国境線の付近には、12世紀ころまで栄えたアルメニア王国の首都アニの都市遺跡があり、これこそカルス観光の目玉です。

アニ遺跡はトルコ・アルメニア・ロシアとの複雑な領地争いを経て現在はトルコ領に属しています。激動の時代と悠久の時を経た旧都の町では、光
が空気を染め上げて草と土と街並みの色彩を美しく融合させています。


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