シルクロード写真 9.イランイスラム共和国
外務省:危険度色分け地図(参考)

●概要

中央アジアからトルコに抜けるルートとして当初予定
していたコーカサス3国を迂回し、トランジットビザによ
り入国しました。

危険という印象だけが先走ってしまい、実にこの国の
素晴らしさを知る人は少ないと思います。砂漠のオア
シス、景勝の山岳地、遺跡や旧市街の何とも言えな
い味わい深い通り。そして驚くべきイスラムの世界。

何より、イラン最大の見所はイランの人々に他なりま
せん。我々はテロリストなんかじゃないよ。イランを旅
すればそのことにきっと気付くはずさ。人々は口々に
言います。

マシュハド ・ギャルメェ ・ヤズド ・ペルセポリス ・シラーズ ・エスファハン ・首都テヘラン
ラシュト ・タブリーズ ・マークー


マシュハド

イラン北東部の交通の要所、人口300万人を擁する地方の大都市です。

イマームレザー廟(通称ハラム、撮影厳禁)を中心に発展し、中央の廟より大通りが四方八方に伸びます。通りは割と狭く家屋も密集しているため、
どこか暑苦しくエネルギッシュな表情を持つ街です。

ハラムには巡礼者が所狭しと祈りを捧げにやってきます。内部にはすべての感情を支配されてしまうほど強烈なイスラム世界が広がっています。い
まだかつてない体験は、言葉に尽くせません。


ギャルメェ

イラン北西部キャビール砂漠の最深部に位置する小さなオアシス村です。

わたしたちが抱く「オアシス」のイメージに最も近い村だと言われるイランのハイライトの1つです。果てしなく地平線まで続く砂漠に現れるヤシの樹林
と悠久の静けさに癒されます。

村の裏手にそびえる山のふもとより泉が湧き出し、用水路を通って村の畑やヤシの樹林を潤しています。そこかしこにデーツ(ブルドックソースなどの
原料となる激甘果実)やざくろが鈴なりに生っています。


ヤズド

ヤズドの見どころは活気のあるバザールと歴史的な街並みが残る旧市街です。旧市街は金曜モスクを中心に広がっています。かつての建造物が
今なお現役で商店街の用に供されていますが、観光地としてではなく現地の人たちの生活に密着しているという点で、ウズベキスタンのブハラとは
少し性格が違います。

また郊外にはゾロアスター教の宗教施設が残り、イスラム国家に住む異教徒の影を垣間見ることができます。

人々はゆったりしていてフレンドリーでとても居心地の良い街です。


ペルセポリス

イラン最大のハイライトは、アケメネス朝ペルシャの帝都ペルセポリスです。周囲にはペルシャの王族の墓や当時の様子を生き生きと今に伝えるレリ
ーフが残されています。

管理人は歴史には疎い方なのですが、これらの遺跡を見ているとダレイオス三世とアレクサンダーの戦いがいかに壮絶で、いかに歴史を揺るがす
大合戦だったのか容易に想像がつきます。

それほどまでにこれらの遺跡はペルシャ帝国の強大さを伝えてくれます。


シラーズ

近郊のペルセポリスがあまりに有名なためシラーズの街自体はその観光拠点とみなされがちです。

しかし、シラーズにはイランを代表する叙事詩人ハーフェズの廟をはじめ美しい庭園がいくつもあります。イランは薔薇の原産地なのです。

また生花だけではなく、マドラサや廟のタイル装飾にも草木や鳥で美しく描かれており、極めてカラフルです。シラーズは言いかえれば花の溢れる美
しき都とでもいうべきでしょうか。


エスファハン

イランで最も美しい町並みと言われています。歴史はそこまで古くありませんが、イスラム建築の髄を極めた荘厳なモスクや宮殿が中央の広場に密
集する、なんともツーリスティックな町並みです。

広場は夜になるとライトアップされ、イラン人の家族連れのピクニック客で遅くまでにぎわいます。広場からは迷宮のようなバザールが昔ながらの建
物に今も営まれ、町の南側を東西に横断する川にはいくつもの美しい橋が架かります。


首都テヘラン

イランの首都です。近代化が急激に進み活気にあふれ博物館が集っている、いかにも発展途上国の首都らしい街です。自動車が道路を埋め尽く
し、大気汚染も激しく、安宿には労働者と旅人であふれかえっています。

街は北から南へスロープを作り、北の丘には西洋的な閑静な高級住宅街が広がっています。

歴史情緒こそ感じられないものの、かつての権力者の宮殿などを改築したミュージアムコンプレックスやギャラリーや国立博物館などが見どころで
す。


ラシュト

カスピ海沿岸の地域の中心的な町です。テヘランとは美しい峠を挟んでおり、カスピ海からの湿気をせき止め雨が大変多い地域です。

峠には林間のチャイハネや保養施設が続き、カスピ海沿岸にはテヘラン市民の保養ホテルや別荘が続きます。

海水浴場(チャールース)、温泉地(ラームサル)、崖に築かれた美しい山村(マスレー)など、わたしたちが知っているイランとは一味違った側面を見
せてくれます。


タブリーズ

イラン北西部の中心的な街です。交通の要所でもあり、アゼルバイジャン・アルメニア・トルコと言った近隣諸国との交流も盛んです。このあたりから
ロシア語を耳にする機会が増えます。近隣の奇岩の山村は有名な観光地です。

大都市である割に外国人に慣れていないせいか、人々は持ち前のペルシャ民族の誇りを振りかざし、時に外国人に対していわれなき差別を持ち出
したりします。その傾向はイランのどの町よりも顕著でした。

奇岩の山村キャンドヴァンやアルメニア国境のジョルファが郊外にあります。


マークー

アゼルバイジャンの飛び地ナヒチェヴァン地方やトルコ方面の国境に近い、イランの北西部のはずれです。空は常に雲に覆われ、ひんやり湿った空
気の漂う独特な自然環境が周囲に広がります。

トルコ系・トルキッシュアゼリー系・アゼリー系・アルメニア系・クルド系など多くの人々が、点在する集落ごとに昔から住んでいます。町のシンボルは
約200メートルの反り返るような断崖絶壁。しかしそれ以外にもファルハッド遺跡とアララト山、サルダール館など知られざる見どころがあります。


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